憧れの先輩

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お洒落なカフェに連れて行かれてお店に入った時にコーヒーの香りを嗅いだら、モヤモヤが無くなった。いい香りは脳をリセットする。 「このお店多月さん好きそうですよね?オレも好きだから同じだと思って連れてきました。ランチ食べましょう。」 店内に案内されても、守屋君といるだけで周りの視線は突き刺さるように痛かった。 守屋君と私が一緒にいるだけで、違和感があるといった所だろう。 「守屋君に気を遣わせすぎなのは分かってるんだけど、一番残念なのは香りがうまく作れなかった事がショックだったよ。」 「…だと思いました。多月さんは、直ぐに顔に出るので分かりますよ。気分転換して脳をリフレッシュさせてからじゃないといい香りが作れません。」 「わかってるんだけど、うまく出来ないんだ。でも、美味しいもの食べたら気持ちが変わるかもしれないから元気だそう。」 「ランチ二つでいいですよね?後は食後にコーヒーを二つで。」 店員さんがいつの間にか来ていて守屋君が決めてくれて頷いた。ワクワクしながら選ぶ楽しみを与えてくれないのが寂しかったけど。 「守屋君の作った香りのサンプルってもう無いよね?嗅ぎたかったから残念。」 「有りますよ。でも、今はお預けです。会社で渡しますから。」 「出し惜しみしてたの?相変わらず意地悪だな。」 「上手い飯の前に嗅がせるわけにはいきませんからね?」
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