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番外編:Hallo Baby 夫に溺愛される妻達編② -ナンパ君コラボ-
そして迎えた両親学級の日。
妊婦体験なんかもあって、涼介さんを含むパパさん達はその重さと動きにくさにかなり驚いた様子。まだあそこまで大きくはなってないけど、知っておいてもらうのと知らないのとではかなり違うはず。
「綾音さん綾音さん」
「ん?」
「あの2人、急に仲良くなったと思いませんか?」
涼介さん達を見ると、何やら真剣に話し込んでいた。どうしたんだろう。
「さっき、連絡先交換してるのも見たんです」
「へ~。どうしちゃったんだろうね?」
「ね。でも、パパ同士の仲が良くなるのもいい事ですよね」
「そうだね」
何をそんなに真剣に話し込んでいるのかは分からないけど、何だかちょっと微笑ましい。
「ねえ涼介さん、さっき男同士で何話してたの?」
自宅へ帰ってから、何気なく訊ねてみる。
「綾音達の事」
「私達の事?」
「ん」
その時はそれ以上は教えてくれなかったけど、妊娠後期に入った頃漸く分かった。
「綾音、ソファーにおいで」
何だろう?不思議に思いながら言われた通りソファーに行くと、横になるように促される。
「涼介さん?」
不思議に思って彼を見ると、その手には見慣れない瓶。
「これ、妊婦でも使えるマッサージオイル」
「マッサージオイル?」
「お腹が大きくなると、足が浮腫みやすいって」
そういえば、両親学級でそんなこと言ってた気がする。そして、絶賛浮腫み中の私の足はパンパン。
「マッサージ、するから」
「涼介さんがしてくれるの?」
コクンと頷く彼の目は、真剣そのもの。
「ちゃんと、やり方も聞いて来たから。大丈夫」
そう言った彼は、オイルを手に出すと私の足を揉んでくれる。
「痛くない?」
「全然。気持ちいいよ」
「良かった」
少し笑った彼は、そのままマッサージを続けてくれる。あまりの気持ち良さに、途中ウトウトしてしまった。
「綾音、終わったけど……どう?」
そう言われて足を動かすと、驚く程楽になっていた。
「すごーい!かなり楽になってる!ありがとう、涼介さん!」
「ん。良かった」
はにかんだ様な涼介さんの表情に、どうにも愛しさが溢れて思わず自分から口づける。
「綾音……?」
「本当にありがとう。愛してるよ、涼介さん」
「ん……俺も、愛してる」
今度は涼介さんから触れてくる。段々と深くなる口付けに思わず吐息を漏らすと、涼介さんの表情が変わった。
「妊娠してても、していいって……本当?」
「あ、うん。大丈夫ですよってお医者さんには言われてるけど……」
「無理はしないから……ちょっとだけしていい?」
「……うん」
涼介さんに連れられて寝室へと向かう。久しぶりに涼介さんと触れ合ったけど、今までと違ってかなり優しくゆっくりと抱かれたのが、何だかくすぐったくて幸せだった。
翌日彼女と連絡を取ると、彼女の旦那さんも最近よく足のマッサージをしてくれるらしい。使っているオイル名も同じらしく、恐らく2人で買いに行ったんだろうと分かる。誰にやり方を聞いたのかまでは分からないけど、きっと色々考えてくれたに違いない。
『何だか、彼に愛されてるなって思えるすごく嬉しい時間ですよね』
『うん。本当に』
大事にされてるなって思えて、すごく幸せになる。涼介さんと結婚して間違いなかったなって、改めて思った。
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