わるいこと、ぜんぶ。番外編①

「えーとね、顔っていうか、いつも礼儀正しいところはいいと思ってるよ！ふたりきりの時は結構、失礼無礼だけどね。あと、約束は絶対守ってくれるところとかも、いいところだとは思うけど……！」

手をパタパタとさせながら、会長は焦ったように早口でまくし立てる。

「はあ……、ありがとうございます？」

ディスられているのやら、褒められているのやら。

疑問符を付けながらも、お礼を言ってみる。

というか、矢野先生を好きな理由を聞いたはずだったのだけど、俺は何を聞かされているんだろう。

「だ、だから、勘違いしないで！顔がいいってだけの理由で、人を好きになったりなんかしないんだから！」

そんなツンデレのテンプレみたいな言葉をリアルで言う人がいたとは。