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いとこ
Side:真人
ここ最近…つっても2,3か月にはなるけど…ヒロくんの様子がおかしい気がするんだけど、気のせいかなぁ。
ぜーんぜん会えないの。まぁ俺も働いてるからもともと会えるとしても平日の夜と土日くらいだったんだけど。
それでも前は晩ごはん一緒に食べたり、土日なんかはバッティングセンターに行ったりしてたのにさ、サークルの活動とかバイトとか付き合いの飲みとか……
そういやヒロくんもいっちょ前に呑めるようになったんだよね、もうハタチだもん。
5つ違いの従兄弟のヒロくんが、2年前に東京の大学に進学が決まってうちに下宿することになった時、ちょっと緊張したの覚えてる。
子供の頃は夏休みや冬休みの帰省でよく遊んだんだけど、俺が高校に入ってからは部活やらバイトやらで全然会えなくなったから、久し振り過ぎて…
『……まーくん?でかくなってる』
うちにやって来たヒロくんが、あまりにも記憶の中のヒロくんと変わってなくてびっくりした。
坊主じゃなかったけどさ、あの頃の可愛さそのまんま!
『ヒロくんは変わってない!うわぁ~ヒロくんだぁ!』
『小学生の頃から変わってないって…それビミョーなんですけど』
『あはははっ喋り方だけおっきくなってる!!』
『喋り方だけじゃないわ。全部だわ』
って……緊張してたのが嘘みたいにすぐ打ち解けた。
ヒロくんの部屋は俺の隣、結婚してもう家にはいない姉ちゃんが使ってた部屋。
初日に母ちゃんに言われてカーテン買いに行ったの。前はピンクがかかってたから。
『別にピンクでもいいよ。わざわざ新しいの買わなくても……』
そんなこと言うヒロくんを助手席に乗せて、近くのホームセンターまで行った。
『4年は過ごすんだから、自分の好きな空間の方がいいでしょ?』
俺がカーテン売り場に連れてって『好きなの選んで』って言ったら、ヒロくんはちょっと困ったように笑ってベージュの地味~なのを選んだ。
隣のクッション売り場をふと見たら、そこに並んでたワンコの抱きぐるみがすげー可愛くて触り心地が良くて、『これ、進学祝い』って無理矢理買ったら『ショボいな~』っていいつつ嬉しそうに笑った。
なんか俺さぁ…弟が出来たみたいで嬉しくって!
給料が出たら何買ってやろう、どこに連れてってやろうとか考えるのが楽しくって、ヒロくんもすっごい喜んでくれてさ~
だから、付き合いもサークルも仕方ないけどちょい寂しいの。
ちょっとは俺も構って~って……
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