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結局あの日から花凛は私と住んでいる。けれどふとひとりになったとき、やっぱり考えてしまうのだ。
息子は暴行事件を起こした。私だってDV加害者の前歴があるうえ、新たに誘拐犯にもなってしまった。犯罪まみれの極悪親子といったところか。
いつか正義が私たちを裁くだろう。正論が私たちを責めるだろう。それは市波花凛にも飛び火するかもしれない。家出は彼女の初めての反撃であり、両親に対する精神的暴力だからだ。
しかし……
それで彼女が苦しむなら、私はそれでいいと思う。
花凛はあの瞬間に生まれた。これからは自分の道を歩み始めるのだ。素晴らしき両親のもとを去ったことを後悔するかもしれない。悪事に応報はつきものだ。それも含めて、彼女は全てに責任を負わねばならない。
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