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次の日、賢次を迎えに行ったらおばさんが「あら? さっき出て行ったわよ。健くんとかじゃなかったの?」って聞いて俺は、若干イラついて学校へ向かった。
賢次のやつ、先に行くなら昨日言っとけよ……俺は、昇降口で靴脱ぎ、上履きへ履き替え、持っていたを靴下を駄箱へ突っ込んだ。
「あの!」
突然、後ろから声を掛けれ、振り向いたら何組か知らない女子が立っていた。
あ? この色のリボンって…一年生か……
「これ…読んでもらえませんか?」勢いよく差し出された手紙。
「え?! 俺?」
「はい!」俯き、頬が赤く染まった顔はとても可愛かった。
「あ、ありがとう」俺が、礼をいうと一年の女子は、足早にいってしまった。
一年の女子が、俺になんの手紙? 賢次の間違いじゃねぇ? 手紙の封を切って、中身を読んだ。何度読んでも、俺宛のものだった。
これってもしかして…… 人生初ラブレターじゃねぇぇ!
俺は、人生初の出来事に小躍りしながら教室へ向かった。
「あれ、賢次は?」
なんだよ、自慢してやろうと思ったのに……
「え? おまえら一緒じゃないのか?」珍しいとシゲが言った。
「そんな…いつも一緒ってことないだろう」俺は、自分の席に座り鞄を置いた。
「いやいや、何言ってんの。いつも一緒じゃん。また、喧嘩でもしたんか?」シゲが、揶揄うように言う。
「そんなんじゃねーよ」
あいつが勝手に怒ってるだけだ……
賢次が、好きかどうか聞くから真剣に考えてみた。でも、結局分からなかった。
賢次は、幼馴染みで隣の家に住んでて家族みたいなもんだし____
あ、でも……家族や友だちはキスしねーよな……
「なぁ、シゲ」
「ん?」シゲは、眠そうにスマホ見ていた。
「友だち同士でキスしたりするか?」
「なに、急に」シゲは、眠そうに見ていたスマホから目を離した。
「いや、あ……」
しまった……つい思ったこと口にしちまった……
「しねーんじゃね? なに? したの?」シゲは、ニヤっと笑い俺の顔を覗き込んでくる。
「いや、したつーか…事故つーか」俺は、自分で聞いといて恥ずかしくなってきた。
最初は、不意打ちで軽くされただけだった。家だったし、拒む理由もなかった。この前みたいに、しかも学校でしつこくされたのあれが初めてだった。
やっぱ、しねーか……
「おい! 健!シゲ!」かっちゃんが慌てて教室に入ってきた。
「なんだよ…勝己、そんな慌ててさ」シゲは、眠そうな目で慌てるかっちゃんをじっと見た。
「いいから、あれ見ろよ」かっちゃんが廊下側を指差した。
賢次が、B組の可愛いと噂されてる女子と一緒に廊下を歩いていた。
「へぇ〜〜珍しいな。賢次が健以外のやつといるなんて。それもB組の可愛い子じゃん!」
「だろう! 俺、正門のとこでびっくりしたわ!」シゲとかっちゃんが騒いだ。
賢次が他の誰かと……へえ……
なんだろう、胸の辺りがモヤっとする。初のラブレター貰って小躍りしてたのに……
「賢次、おはよ。おまえ、B組の朝倉と知り合いなん?」シゲが、賢次の首根に腕を巻き付けた。
「ん、まぁ」賢次は、無表情で賢次から離れる。
「もう、なんだよ。さすが、顔のいいやつはさ」かっちゃんが、賢次の背中をバシッとやる。
「そんなんじゃないよ」賢次は、眉根を寄せ鬱陶しそうな顔で自分の席へ座った。そして、俺を見ていつも通り笑った。
「おはよう、健」
「おはよう…先に行くなら昨日、言ってくれたら良かったのに……」
「別に約束してなかったじゃん」賢次は、俺をじっと見て目を逸らした。
「まぁ、そうだけどさぁ」
なんだよ! 心配したのにさ!
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