波の町

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 今日は最近できたばかりの友達、エマと遊ぶ約束をしていた。エマは、冒険がすきだった。クラスで輪の中心に見えていた彼女から、輪の外の私に声をかけてきたのが始まりだった。 「私、あなたとお友達になりたいわ」  たしか、こんなセリフだった。赤身かかった髪と青い瞳が控えめの私をよそに、どんどん近づいてくる。 引っ張っていく彼女の強引さになれるのに時間がかかったが、いつしか楽しみに変わっていた。今日は一緒に街のメインストリートを歩いて、エマが私に見せたいというお店と海に行こうと決めていた。メインストリートは小さい頃から歩いていたが、鮮明に残っている記憶は特になかった。一体どんなところに連れて行ってくれるのか、楽しみであった。  窓から海を眺めていると、コツコツと足音が近づいてくる。メインストリートを見下ろすと、エマがにこにこしながら、こちらを見ていた。早くと言わんばかりに手招きして私を呼んでいる。 「リア、行きましょう」 「ちょっと待って、私準備がまだ。下で待っていてくれないかな?」 「リア、いつもあなたはゆっくりしすぎよ」 「ごめんね、すぐ行くわ」  エマは家から出てきた私を見つけると、すぐさま足を鳴らし始め、今にも足り出しそうだった。謝る隙を与えないピッチで 「さあ、早く、行きましょう!」 「今日はどこに行くの?」 「それは、行ってからのお楽しみよ」  エマはにこにこして、スキップするようにストリートに小さな音を鳴らし始めた。
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