【番外編】母になる③

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やがて、脱力した私の耳に元気な泣き声が聞こえてきた。 声、低めじゃない? 男の子? 「坂崎さん、おめでとうございます。元気な男の子さんですよ。はい、ママとパパですよ〜。」 そう言って処置を済ませた看護師さんは、私の胸の上に、まだ白っぽい産まれたての赤ちゃんを乗せていた。 なんだか想像と違う、だけど似てる気がするよ…凛太郎に。 「可愛い…。 ママだよ、よく頑張ったね…。 パパとママのところに、生まれてきてくれてありがとう。」 やっと会えたね。私、ママになったんだ…。 赤ちゃんに初めての挨拶をした私の頬を、温かい涙が濡らしていた。 そして…もう一人。 グスッ…ズズッ… 凛太郎!もしかして泣いてるの? 「優香、ありがとう…俺の子を産んでくれて。今日のことを俺、生涯忘れない。」 そう言って泣きながら、凛太郎は私と赤ちゃんを抱きしめた。 凛太郎の涙なんて初めて見た…。 だけど、その様子は看護師さんにしっかりと撮影されていた。 「イケメンパパは、泣いてもイケメンですね! 赤ちゃんも、やっぱりパパ似ですかね?」 「あ、そうですかね?ははっ! 俺は奥さんに似て欲しいんで、次は奥さん似の女の子が欲しいです。」 「えっ、今産んだばっかりなんだから〜。 もう二人目の話なんかしないでよ、凛太郎!」 そう言って笑い合う私達、その二人の間で元気に泣き叫ぶ我が子。 ありがとう、本当に幸せだ。 これから三人で、もっともっと幸せになろうね。そして、またいつか可愛い家族が増えるといいね。 そしてどんな時も、家族一緒に頑張ろうね。 「オンギャー!オンギャー!」 「早く名前決めないとな!いつまでも赤ちゃんて、呼んでられないよな?」 元気に泣いている我が子に、目を細める凛太郎の姿は、既にパパだった。 今日は特別な日、 私達家族の、新たな日々の始まりだ。 ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 子育ての様子も少し書いてみたい気もしますが…、ひとまず、番外編完結です。
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