第1章 食いしん坊の神様 ①

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 職員室に残り、切りの良い所まで終わらせてしまおうと、私は集中して授業用の資料をまとめていた。  ふと顔を上げると、部屋に残っているのは、いつの間にか自分だけとなっていた。  窓の外はすっかり日が落ちて、藍色に沈んでいる。部屋の隅にまで広がった静寂は、もう校舎全体を満たしている頃だろう。 (ああ、もうこんな時間か……)  今年は二年生のクラスで初めて担任を持つ事になり、担当教科である現代文の授業の他に、学級の仕事も増えた私は、未だ新たな職務に慣れないでいた。  (いつかは担任のクラスを持って、生徒達の成長を卒業まで見届けたいと思っていたし、頑張らなくちゃな。教師自体、自分がなりたいと思って目指したものだし……)  ただ、自分には諦めきれないもう一つの夢があった。
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