14 飛行機、何時?【美月】

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「一瀬君、待って!」  無理矢理、課長がエレベーターに乗って来て、一度閉まりかけたドアが、もう一度開いてから閉まる。  エレベーターには、他に二人乗ってた。  課長はすぐ下の階のボタンを押した。  エレベーターが止まると、課長に腕を引っ張られて14階で降ろされた。  どうしたんだろう?  こんな強引な事をする課長、見た事ない。 「課長、どうしたんですか?」 「飛行機、何時?」 「え」 「何時の飛行機で帰るの?」 「夜の、11時40分発です」  二重の目が大きく見開いた。 「まだ時間あるね」  今は朝の9時。 「……ありますけど」 「あの、良かったら香港を案内するけど」  思いがけない申し出……。 「案内してくれるんですか?」 「うん。一瀬君には世話になったから、お礼がしたいんだ」  嬉しいけど、受けてしまったら下心があって看病したみたい。
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