序章

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あの日以来、俺は途方に暮れている。 あの夜、君が急に俺の前からいなくなってからずっと。 億ションと呼ばれる都心のタワマンの最上階。 君がいなくなってすぐの頃は、連日連夜、友人達を大勢呼んでホームパーティーを繰り返した。 高級クラブを貸し切って、大勢で馬鹿騒ぎしたこともある。 一度に複数の女と寝たりもしたが_____ そんなことで心の隙は埋まらなかった。 だから今は、 別にあくせく働かなくても、金に困ることもないのに、ほとんどの時間をオフィスで過ごす。 仕事に没頭することで、君のことを忘れるために。 暫くの間、この作戦は成功していた。 だが最近。 黄昏時に社長室に引き上げて、1人になると再び君を思い出す。 悪いことに、前よりずっと鮮明に。 君の笑顔、怒った顔、泣いた顔。 不味いコーヒー、下手くそな活花、右上がりの、丸っこい字で書いたメモ。 俺はどこかで願っている。 君もまた、俺と同じ夢を見、俺を想い、在りし日に思いを馳せて、今なお俺と同じ寂しさの中にいることを。 君もまた、俺との再会を願ってやまないことを。
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