1447人が本棚に入れています
本棚に追加
/128ページ
「ただいま……真澄？」
真澄を見て、鷹也は思わず名前を呼んでいた。
普段なら笑顔で彼を迎えてくる真澄が、泣きそうな表情で見あげている。不安そうな表情を見た鷹也は思わず彼女を抱き締めていた。
一瞬、固まった真澄だったが、すぐに身体の力を抜いて鷹也に寄り添ってきた。そのまま抱きあげてリビングに向かう。
さすがに、横抱きにされた真澄は軽く抵抗してきたが、鷹也は無視した。
ソファに静かに座らせると、鷹也は横に腰を下ろした。直接見ないと話しやすいだろうと思ったのだ。
「今日は健診ではなかったか？」
俯いた真澄から事情を聞かないとならない。鷹也は、今朝聞いていた彼女の予定を確認した。
「はい、行きました。順調だって言われました」
鷹也は安心した。一瞬、胎児に問題が出たのかと思ったからだ。それなら、真澄の沈んだ様子は、子供が理由ではない。
最初のコメントを投稿しよう！