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「久しぶりだな、鷹也。元気そうで安心した。優秀と聞いている。さすがは一族の男だな」
鷹也の父親といってもいい年齢の男性から、突然声を掛けられた彼は驚きの表情を相手に向けた。男性の横には、鷹也よりも数歳年長の青年が立っている。
大学のキャンパスを歩いていた鷹也は、思いもしない二人に声を掛けられたわけだ。
「お久しぶりです。
前回は……ご自宅にお邪魔した時ですね。あの時はありがとうございます。母も、気持ちの区切りがついたと申しておりました」
「ああ、聞いている。彼女には本当に気の毒なことをしてしまった。当時の自分の力不足が申し訳ないと、今でも思っているよ」
謝罪する男性に首を振った。
仕方ないのだ。鷹也の存在が騒動しか呼ばないなら、一族の反対を押しきってまで受け入れるのは問題だろう。
それでも彼は、実の父親から愛情を受けていた。そして、継父とも関係は良好だ。可愛い弟と妹のいる今の生活は、鷹也に充分以上の幸福をもたらしている。
「お気になさらないでください。母は、継父との生活を幸せに感じておりますし、私も、こうやって大学に通えてます。これも、父の配慮ですから」
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