第三章 大切な人への誓い

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 ***  秋が深まってきた頃、少し寒い空気の中、鷹也は車を走らせた。  遼雅(りょうが)たちは自分で運転することはないだろうが、鷹也は運転が好きだった。  音楽を()きながらハンドルを握る時間。独身の頃は、ひとときの息抜きの時間だった。今も変わらないが、真澄との時間はそれ以上に大切になっていた。  (そろそろ、ベビーシッターの話でもしようか)  生まれてからでは遅い。その前に依頼しておきたかった。もっとも、出産後にどこで静養するかでも時期が変わるだろう。  取り留めないことを考えているうちに、車はマンション駐車場に到着した。鷹也は外に出ないでエレベーターに乗った。  珍しく、外に出てから自宅に戻ろうとしたあの時の気まぐれが、この穏やかな毎日に繋がっている。偶然の幸運に彼は感謝した。
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