第三章 大切な人への誓い

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 「でも……病院で数馬(かずま)に……」  「え……」  思いもしない名前を聞いて、鷹也は動揺した。事情を聞いた時に出た名前。真澄の交際相手-おなかの子供の父親の名前だった……  「それで、彼は」  相手の行動を聞かないと次の対応が難しい。裏切って、彼女を一人にしたにも関わらず平然と会いに来る。動機が気になる。  「謝ってきました。  親に隠しきれなくて仕方なくしゃべったって。  でも……嘘だって分かってます。それなら私に連絡してきますよね、行けなくなったって。  ないんだから、本当は裏切ってたんでしょ、と言いました。  言われたらバツの悪い顔になって黙りました。信じてくれると思ったんでしょうか……」  真澄と同い年だからまだ若い。自分の言葉に筋が通っていると考えても仕方ない。年齢を重ねないと見えないこともある。  しかし、身体の関係があって、しかも妊娠させた相手に対しての配慮がまったくないのは、年齢には関係ないと鷹也は苛立(いらだ)った。
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