3985人が本棚に入れています
本棚に追加
/238ページ
……いやいや、やっぱり緊張するんですけど、この部屋ーっ、と二次会も終わり、帯刀の部屋に行った羽未は思う。
此処に来るたび、なんらかのおのれの悪事を暴かれそうな気がして、足がすくんでしまうんですが……。
今日から家が建つまで此処に住むのか~、と玄関先で固まっていると、帯刀が後ろから羽未を抱き上げた。
お姫様抱っこをしてくる帯刀に、
「そ、そういえば、これも芳賀さんに習ったんですか?」
と照れながら訊いたが、帯刀は、
「いや、これはおのれの衝動に従ったら、こういう動きになっただけだ」
と言う。
帯刀は羽未を抱いたまま、あのクソ真面目な表情でじっと見つめてきた。
ひーっ。
やめてください~っ。
なにもやましいところがなくとも、貴方のその真摯な瞳に見つめられると、なんだかわからないけど、すみませんっと謝りたくなるんですけどっ、と思ったとき、帯刀が訊いてきた。
「……もう俺に秘密はないよな?」
「ないです」
と言いかけ、羽未は気づく。
「あっ、ありますっ」
最初のコメントを投稿しよう!