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プロローグ
(ドキドキ…) プレッシャーのような焦りからか緊張を覚えた。鼓動のリズムと呼吸を合わせ気分を落ち着かせようとする。
そして自宅から一歩踏み出し町の青空を見上げた。
町はこんなにも広いのに、ふと”孤独”という言葉が頭に浮かんだ。
「本当に私にお似合いの言葉ね。」
寂しいはずなのに私はまた思い出してしまった。
「私のことを誰も知らない町へ行きたいな…」
そう呟いて、自宅の側に咲いている一輪の花をそっと抱え見とれていた。 季節は春。
4月から私は高校生だ。
~入学式 (出会い)~
私は同じクラスの千鶴優太君と目が合った。
「なに、じっと私のことを見てるの!?」
恥ずかしい気持ちを抑えながら思わず強い口調で言ってしまった。
「すっ…すみません。あまりに綺麗な方なので見とれてしまいました…」
千鶴君は驚きながらも答えてくれた。
「は?!何言ってるの??」
「すみません…」
知らない町で初めて言葉を交わした相手。綺麗と言われたことに動揺を隠せない。
「どうしました?顔赤いですよ?」
「わっ…近いよ」
様子を心配してくれただけかもしれないが、彼は至近距離まで来ていた。こちらが驚いてしまい、半歩距離を置いてしまう、それと同時にふと思ってしまった。
私はあなたに会いたくてこの町に来たんだ。
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