170人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
ある日の昼休み。
私たち以外誰もいない空き教室で、お昼を食べ終わったあと、知花くんが大きなあくびをした。
「眠いから寝ていい?膝貸して」
「……はい?」
言いたいことは多々あるけれど、ゴシゴシとまぶたをこする姿に、私は渋々うなずくことにした。
私の高校生活での生徒会も終わり、学年も違う私たちが学校でふたりきりになるには、昼休みくらいしか時間がないのに。
もう少し、話していたかったな……。
スースーと規則正しい寝息を立てながら、早くも夢の世界に行ってしまったらしい寝顔を見つめる。
寝付き良すぎ。
太ももに乗った頭の重さが、変な感じがする。
起こしてしまわないように、そっと髪の毛に触れる。
ふわふわでサラサラで、手のひらがくすぐったい。
最初のコメントを投稿しよう!