わるいこと、ぜんぶ。番外編②

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意味も分からず夢と比べられ、真っ赤な顔で固まってしまった私をよそに、知花くんはのんびりと立ち上がる。 あの発言の後に、どうして平常心でいられるのか理解が出来ない。 「もう昼休み終わるんだっけ?やべー、もったいないことした」 「今の生徒会、眠る暇もないくらい大変なの?」 「いや、別に。雛子に膝枕してもらいたかっただけなんだけど、つい本気で寝てた」 「……そういうのって、普通声に出さないよね」 「え、そう?また貸して」 「……」 何でいつも私ばっかり振り回されちゃうんだろう。 知花くんと一緒にいると、胸の音が速くて仕方ない。 「そろそろ教室戻るか」 「あっ、待っ……」 知花くんが嫌そうな表情をしながら教室を出ようとするのを、とっさに腕をつかんで引き止める。 「え?」 と、聞き返されて、ハッとする。 特に言いたいことがあったわけじゃなくて、まだ一緒にいたかっただけとか……言えない。 視線を落とすと、見えるのはポケットからはみ出す制服のネクタイ。 「あ、えっと……、ネクタイ!」 「ネクタイ?」 「ネクタイ、持ち歩いてるんだね。それなら、どうしてつけないの?」
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