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水曜日
「おーい、紗季ちゃーん」
誰かに肩を何度か揺すられ、意識がはっきりしてくる。
「うーん……あれ、授業は?」
顔を上げると琴音ちゃんと美菜の姿が目に入る。
「さっき終わったよ、南雲さん」
美菜が呆れた顔をして私を見る。
時計を見るともう昼休みの時間だった。どうやら寝ちゃっていたようだ。
昨日よく眠れなかったせいだろう。あの人が言っていた「いい方法」を考えていたらいつの間にか日付が変わっていて、急いで布団に入ったけど、なかなか眠気がやってこなかったのだ。
授業が始まった時から記憶が曖昧だ。もしかして最初から寝ていたのかな。
「あとさっきの授業、結構重要なところだったけど、ちゃんとノート取った?」
「えーっと……後でノートの写真撮りたいから貸して」
「まったく、お昼食べたらね」
そんなことを言いつつ、すぐにノートを貸してくれる。
美菜は近くの机を私の机と合わせ、お弁当を出す。
「わーい、お昼だ! みんなの今日のお弁当は何かな」
琴音ちゃんも楽しそうにお弁当を出し、近くの椅子を持ってくる。
私は何となく、詩奈子のほうを見る。
詩奈子は今日も一人で窓の外を見ながらおにぎりを食べていた。
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