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この世界は不条理だ。
生まれおちたその時にあらかたの人生が決まる。
ある者は輝ける将来が約束され、
ある者は保証のない未来を模索しなければならない。
例外があるのだとすれば、何も望まない事。
それは多分、凄く楽なことだと思っていた。
「お前、明日どうする?」
「え?何が」
「はぁ?昨日も言ったじゃん、合コン!!」
「あ……悪り。俺バイトあるから。
行きたかったなぁ、残念」
いくら大学生といえど、ほぼ連日合コンとか
他にすることないのかと思わなくもないが。
ま、人それぞれだし、楽しそうにしている友人に
わざわざいう言葉でもないからと俺は笑って誤魔化した。
「お前付き合い悪いなぁ。
例のバイトまだやってんの?」
「うん、将来そっち系に進みたいし
社会勉強のつもりもあってさ」
「……ふーん、将来ねぇ。
俺達には高望みは出来ないから、
あくせく働く前にもっと遊んでおけばいいのに」
「……だな。あ、時間だ、もう行く。
また今度誘ってくれよ」
俺はわざと腕時計をみて長くなりそうな話を切り上げ、
手を振りながら走り出した。
「お~~又な」
門をを出てその姿が見えなくなった頃、
俺は歩調を緩め溜息をついた。
友人の言葉は正しいのかもしれない。
ただそう割り切れるのは彼が……いや、よそう。
行き交う人々の群れは至って何事も無く
日常を営んでいる。
俺も同じだ、同じなんだ。
例え――
此処がほんの一握りのエリートと
取り立てて何ら特徴のない一般人と
稀有な存在ながら疎ましがられる者で構成され、
それぞれをα 、β、Ωと称されている
馬鹿げた世界であったとしても。
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自分独自解釈のオメガバース。
タイトルは一切書きませんのでご了承下さい。
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