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「私は元彼さんとの過去についてはよく分からないし、あれこれ言うつもりはないけど、茜がその人のことを大好きだったことはちゃんと伝わってきたよ。
でも、その人のことをちゃんと思い出にできてるのに前へ進めないのは、自分に自信がないからじゃないかな?」
正しくその通りだ。一人の女性として、闘う気力がない。
自分なんて…とまではさすがに思わないが、世の中に素敵な女性はたくさんいるので、つい尻込みしてしまう。
「なんで分かったの?正しくその通りです」
綾香はエスパーなのかもしれない。人の心を簡単に読むことができる。
というより、私が分かりやすいだけなのかもしれない。
「ならさ、無理して恋愛してみようと思わなくてもいいから、いいなって思う人が現れたら恋愛してみてもいいんじゃない?」
無理して恋愛してみようと思わなくてもいいのか…。
そう思えば、少し気が楽になってきたかもしれない。
いいなと思う人なんて、そうそう現れない。ましてや自分で動かない限りは。
でも、綾香は私の気持ちが楽になるように、そう言ってくれたのだと思う。
そう言ってくれた綾香の気持ちが嬉しくて。少し前向きに恋愛についても考えてみようと思えた。
「ありがとう、綾香。綾香のお陰で自分に自信が持てそう」
「そう。それならよかった」
自分のペースでゆっくり頑張っていこうと決意した瞬間、ある人からメッセージが届いた。
いつも通り、グループLINEにかと思いきや、私個人宛に…。
その時の私は深く考えてなどいなかった。
「ねぇ、綾香…」
「なに?どうしたの?」
「あのさ、……から……」
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