第四幕.英雄の最終決戦

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 徳憲は露骨に舌打ちしてみせた。 「悦地さん、忠岡さん……二人だけの内緒話はもう終わったんですか?」 「そォ怖い顔をするなよォ? この事件はキミの手柄だろォ? 何せ、キミが英川才慥を逮捕したんだからさァ!」 「そーだよ忠志くーん? これでまた実績を上げたねー。出世街道まっしぐら!」  忠岡までいけしゃあしゃあと太鼓持ちに徹している。  徳憲はちっとも嬉しくなかった。  手柄を上げたから何だ。全て忠岡の掌の上で踊らされていただけではないか。  忠岡から逃れられない現実を思い知るたび、徳憲は心を痛め、英川に同情した。事件のつど追い詰められて行く英川を救いたかった。  それなのに――いや、だからこそ。 「俺はあなたを信用していません」  徳憲はようやく表明した。  事件の全貌を見通した。  これは推理ではなく直感だ。  仕組まれた構造を見抜いたのだ。 「えー? 急に何を言い出すのよー?」
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