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僕が半身起こしたベッドに腰掛けて
椎名さんはまじまじ僕の顔を覗き込んだ。
「覚えてる……あの魔女に鈴蘭を食わされて、でも目を覚ましたんだ」
僕と薫の会話を貴恵は盗み聞いていたんだろう。
僕が夜毎花を食らっている異食症だと知るや再び。
どさくさに紛れて猛毒の花、鈴蘭を食わせた。
だけど――。
「医者の話じゃそんなこと医学的にはありえないって言ってた。食らった毒に耐性がつくなんて」
「そんなこと知らないよ。でも僕の身体はそうなんだ」
猛毒の鈴蘭を食らって一時ばかり気を失い。
だけど突如目を覚ました。
僕は半裸のまま泥だらけで外に走った。
そして朦朧としたまま椎名涼介に電話したんだ。
「僕を隠せ——って。僕を隠してくれと君は電話で言ったんだよ」
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