第四十七話:煽り運転

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 何だこの運転手、頭おかしいのか?  さすがに異常な状況だと恐くなり、更にスピードを上げて距離を取ろうとしたZさんは、アクセルを踏み込みそのまま一気にトンネルを抜け出した――その次の瞬間、目の前にガードレールが迫り、慌てて急ブレーキと急ハンドルを切った。  しかし、あまりに突然のことにタイミングが間に合わず、Zさんの車はガードレールを突き破り、その先にあった田んぼへ突っ込み横転して止まった。  幸い、Zさんは鞭打ちだけで命は助かったものの、車は廃車にせざるを得ない状態になってしまったという。  ただ、それよりもZさんには頭に引っかかる不可解なことがあり、それは自分が事故を起こした直後、横転した車の中から道路の方を見た際に、すぐ後ろを追走していたトラックがどこにも見当たらなかったそうで、あんな数秒で姿が見えなくなるほど遠くまで走り去ることなどできるのかと、疑問を抱いたのだという。
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