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ある日、友達とお茶した時にお友達はこういうことを言っていた。
「遠くに行きたい」
「遠く?」
いきなりのことに聞き返してしまう。
友達は頷いている。
「遠くって、外国?」
「そこまで、考えてないよ」
友達はコーヒーを飲む。
「じゃあどこ?」
「日本のどこか。ただし、今いる地方からは出たい」
* * *
「どこだか、決まってないということ?」
「違う。地方から出れるなら、どこでも良いということ」
何も考えてないんだなーと思った。
尽かさず、聞いてみる。
「何かしたいの?」
「何かしたいというより、誰も居場所をバレずにひっそりと暮らしたいかな」
無理難問な話だ。
「まずさぁ、この地域で仮住所を作るの。家具とは置かず、電気水道ガスの契約もせずに」
頷いてみる。
「そして、仮住所を作ったら、本拠地を作ってひっそりと暮らすの」
うんうんと頷く。
「例えね。住所調べられても、仮住所を転居地として登録してあるから、いつでも留守。会いたくても会えないという話」
うんうんと頷きながら、うまくいくわけないと思う。
「良い考えだと思うんだけど、実行する勇気がないんだよね」
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