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俺っ娘巨乳な神様を家に連れて帰った日から、妹の機嫌が悪くなり続けている
それはこの街の、とある山の頂上に建てられた、古びた祠の中にいる――。
そんな噂は小学校の頃からまことしやかに囁かれていたけれど、けれどあの頃はそれを確かめるための度胸と、そこを訪れるだけの体力と勇気がなくて、ずっと僕の中で噂は噂のままだった。
あれから早八年。高校三年生になった僕にとっては、それは何て事のない道のりだったわけで、その祠が今、目の前にある。
願いを叶えてくれる神様。山の祠の神様。名前はない。というか、聞いたことがない。けれど、それはこの祠の中で眠っているらしい。
気まぐれな神様で、面白そうな願い事にだけ、興味本位で首を突っ込んでくるなんて情報もあった。この際別にそれでも全然構わない。
僕は願った。頭の中で三回、いやそれ以上に何度も。成就するなら何度でも、いくらでも祈りを捧げるつもりで。
どれくらい時間が経ったのだろう。気づけば祠が、淡い光を放っているのを僕は見た。ぼんやりしたその光は、やがて萎むように消えていった。願いが成就したのかと思ったけど、何かが変わったような気配はなかった。
やっぱり神様なんて、単なるデマだったか――。まあ、そうだろうな。
僕はそう思った。そのときだった。
「にゃっはは。お前のそのしょうもない望み、特別に俺が叶えてなるぞぃ」
調子よさげな女の子の声がして、思わず顔をあげた。何というのか、アイドルが着るような、赤黄青緑その他――色彩鮮やかでフリフリなシャツとスカートを身につけた、同い年くらいの女の子姿が、そこにはあった。
それが僕たちの出会い――俺っ娘の神様が、僕の目の前に現れた瞬間だった。
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