平成レッド

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内閣総理大臣安真(やすま)健一郎(けんいちろう)は苛立ちを隠せずにいた。 内閣官房長官の尾形(おがた)靖二(やすじ)が持ってきた『平成レッド』からの犯行声明文を、安真はその場で破り捨てた。 安真はこれまでテロ攻撃や犯罪に対し厳格な対応を取り続けてきた。 世界でも屈指の治安組織を誇る国家と、その中枢である警察への犯行声明。 それは安真への挑戦状のようなものと言って過言ではない。 安真は激しい怒りを覚えていた。 「これは一体何だ!」 安真は尾形の胸ぐらを掴みながら怒鳴り散らした。 「私にも何がなんだか.......」 震える声を何とか紡いで、尾形は報告を続けた。 「爆発による死者は現時点で三名、負傷者は百名以上」 「その中には、官僚も含まれているようです!」 「そんなことはどうでもいいんだよ!」 吐き捨てるように言うと安真はさらに強く声を荒らげた。 「そんなことより、犯人どもを一刻も早く捕まえる方法でも考えろ!」 「マスコミどもに詮索される前にとっととカタをつけろ!」 そう言って尾形を突き飛ばした。 逃げるように部屋を後にする尾形を尻目に、安真は唇を噛んだ。 「何が革命だ!我が国に向かって舐めた真似をしおって」 未だ燃え続けている国会議事堂を見ながら側近に指示を出した。 「今すぐ警視庁と警察庁へ捜査の指示を出せ!」 駆け出していこうとする側近に、安真は一言付け加えて怪しげな笑みを浮かべた。 「犯人は見つけ次第、射殺しても構わん」
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