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そしてカウチソファの隣には、美容師さんがよく使う移動式の細身の小さな棚がある。
そこには見慣れたメイク商品がズラリと並んでいた。
「これ、全部『アルカンジュ』のメイク商品ですよね。しかも、新旧の商品が全て揃ってる」
「そうだよ。さすが我が社の営業だね。気付いてくれたんだ」
「そりゃ気付きますよ。廃盤になっているものから、限定物まである……これでどうするんですか?」
私が入社する前の商品があり、初めて目にする『アルカンジュ』の商品を手にして目を輝かせている私を見て、須藤さんは満足そうに微笑みながら口を開いた。
「ここで、今から彩香さんを美しく変身させるよ」
「……はっ?」
「前から勿体ないと思っていたんだよね。彩香さん、せっかく綺麗な肌や整った顔のパーツをしているのに、いつも同じパターンのメイクばかりしてるから。もっと魅力的に変身できるのにってそばで見ていて、ずっと思ってた。だから、今日は思い切って僕の手で綺麗にしてあげる」
「え、えぇ!!」
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