いつかは忘れる恋だった。

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 高校に入学してすぐ、人を好きになった。  たぶん一目惚れってやつだった。  たしかに恋愛のひとつくらいはしてみたいと思ったよ?  でも、こんなに早く人を好きになってしまうとは、思わなかった。  その人は年上の女性で、田所茜という名前だった。  年上と言っても学校の先輩ではない。  おれが好きになったのは、美術が担当の先生だった。  これはきっと叶わぬ恋だ。  そう思っても気持ちは止められない。  だからおれは、素直に、先生を好きでいようと思った。  人を好きになることは、悪いことではないはずだ。  たとえそれが、生徒と先生という関係だったとしても。  先生に恋人がいると知ったのは、そのあとのことだった。
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