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……でもね、秀次くん。
あの美女と君が仲良くしてる姿を見て、キリキリと心を痛めてきた長い長ーい日々のことを全部無かったことにして丸めてポイっと破棄、なんて出来ないよ。
僕は人格者じゃないし、そこそこ嫉妬深いんだ。
今はとっても幸せだから、その件は取りあえず横に置いとくけど、そのうち根掘り葉掘り聞かせてもらうつもり。
恋のボーダーラインに必死で手を伸ばしていた僕の追及は厳しいよ。
そう、たとえば、情報収集目的で僕が恋愛相談した時、『片想いの相手は、すごくしっかりしてて、とにかく可愛い。一見、繊細な美術工芸品のような近寄りがたい美人』って答えてたのはどういうことか、とかね。
こんな形容が僕に当てはまる? 無い、無い! 繊細な美術工芸品のような美人って誰だよ!
そんなの、自分に言われた言葉だなんて思うわけないから、湯川華には敵わないって絶望したんだ。
その絶望も含めて、グリグリゴリゴリと追及させてもらう。どんな些細な事柄も漏らさず、洗いざらい喋ってもらいまーすっ。
覚悟しておいてね。大、大、だーい好きな、僕だけの秀次くん?
【了】
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