私とあの子

人の声がたくさん混じり合って１つの音みたいに雑音となる。

落ち着いた雰囲気のカフェなのだがランチの時間はそうでもなかった。

私は目の前にある倒れたホットサンドをいつ食べるか迷っていた。

三口ほどしか口をつけていないマオのホットサンドはいつ食べられるのかと待ち遠しそうである。

マオの話の内容も、悩みも、私にはよくわからなかった。

マオの目線は私の言葉を今か今かと待っていた。

私はマオの悩みが、いつだって理解できないのである。

「マオがタツヤの事好きなら、カナコに話せばいいんじゃない？

タツヤの事好きじゃないなら、カナコの気持ちを尊重してタツヤと2人で絡むのやめなよ。

なんの気持ちもないのに友達が好きな人と遊んでたらムカつくと思うよ。」

私の中では常識な事だし、これ以上の事はなにも言えないくらいシンプルな話だった。