episode259 復讐の計画①

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真っ先にある人の顔が頭に浮かんだ。 しかし今は——僕の話はいい。 「つまりお姉様とあなたはそういう関係——」 「断ち切りたい。あの女は毒蛇みたいに長いこと俺を縛り付けてる」 指先にかかる吐息が熱い。 「この前君に会った時——突然俺に言ったろ『あの女じゃなく自分の方につけ』と……」 冴木は僕の髪をクシャリと撫でる。 「神の啓示かと思った?」 「いや。新たな悪魔が登場したと思った」 流されやすい男なんだ。 だからあんな悪女にコロリと騙された。 「だけどこっちの悪魔の方が可愛いと思った。そうでしょ?」 僕は酔いと陶酔で潤んだ冴木の瞳を真っ直ぐ見つめて言った。 「計画があるんだ」 「何?」 「近々屋敷で大事なパーティーがあるの——その場で魔女裁判を開きたい」 「魔女裁判だって?」 「そんな顔しないで」 固い表所をほぐしてやるように 僕は満面の笑みで冴木の頬に触れ猫撫で声で告げる。 「君は刑事として当然のことをすればいいだけなんだから」 「……つまり?」 「その場で天宮貴恵を逮捕して。容疑はこの僕に対する殺人未遂だ」 想像しただけで悪戯な笑みが込み上げてきて震えた。 だから——。 「もちろん、上手くいったら僕はあなたに報酬を払うよ」 美しい刑事の薄い唇を遊び半分啄ばんで囁く。 「これ以上の——もっと素敵なの」
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