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握る手から伝わる温もりが心地良くて、その心地良さに委ねるようにして目を閉じる。
そんな夏夜を見ながら、遼は小さく呟いた。
「夏夜ちゃん……」
それは、夏夜には聞こえない声で━━
「君のことは……絶対に俺が守るから……」
遼の小さな声は、船にぶつかる荒波の音にかき消される。
闇の海━━
荒れる海が船の行き先を阻む━━。
それはこれからを象徴するようで、遼の心はざわめくのだった━━。
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