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「『私』は島に着いたら禁止」
「あ……」
夏夜がしまったというような顔をする。
「誰がどんな風に気づくかわからないし」
「ごめん……。自分で言っときながら……」
「俺と二人の時は良いよ。俺も二人の時は、君のこと『夏夜ちゃん』って呼んでるし」
夏夜が苦笑する遼に手を伸ばし、そっと遼の手を握る。
「夏夜ちゃん?」
「遼ちゃんが居てくれて……本当に良かった……」
「夏夜ちゃん……」
「私一人だったら……きっと、何をして良いかわからなくて……途方にくれてたと思う……」
「ありがとう」━━と言いながら、夏夜が笑う。
「遼ちゃん……。本当に……ありがとう」
(これで、遼ちゃんが私のことを一人の女性として見てくれたなら)
親友の妹ではなく。
一人の女性として━━
(それなら、私はどれだけ幸せだろう)
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