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何故かアレクの目とあの大型犬の目が重なるが、いつもアレクを見ているせいなのかと思いつつ、朱音が覗き込むようにアレクを見ているのを見て冬真と健人は思わず笑ってしまう。
アレクは朱音の探るような視線から逃げようとしたが、
「アレクも食べようよ」
という朱音の一言で渋々隣に座ることになり、微妙に距離を取って朱音から顔を背けて座る姿に健人は大笑いして朱音は首をかしげた。
冬真がそんな朱音に目を細め口を開く。
「お帰りなさい、朱音さん」
「・・・・・・はい、ただいまです!」
朱音は一瞬言葉に詰まって、アレク、健人、冬真をゆっくり見回してから満面の笑みで答えた。
久しぶりに明るい声と笑い声が古い洋館に広がって、空気すら温かなオレンジ色にかわるようだ。
横浜山手にあるこの洋館には美しい宝石魔術師がいる。
その彼の仕事部屋にはラブラドライトのネックレスが一つ、鍵のかかった小さな箱に仕舞われて、青い光を優しくまとわせていた。
第Ⅰ部 END
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