〈第2落下地点〉

1/6
65人が本棚に入れています
本棚に追加
/89ページ

〈第2落下地点〉

翌日。 寮の布団で目を覚ます。 「はーあぁ。昨日はちょっと、飲み過ぎたかなぁ…」 気持ち悪いとかじゃないけれど、飲み過ぎたと感じた時は、朝起きて昼頃までいつまでも凄く眠い。 のそのそと布団から這い出て、洗面所で顔を洗っていると、ドンドン、ガチャ、誰か入ってきた。 見なくても分かる、坂本だ。 「相ちゃーん♪準備でーきたぁ?」 坂本も相当飲むけど、次の日はいつもスッキリした顔。 あ、飲んだら決まって吐くからだ。全部出して、身体に酒を残さないんだろうな(笑) 後始末を俺がするのもお決まり。居酒屋のバイトの経験が役に立つ。 「準備って?何かあるんだっけ」 坂本が“相ちゃん”と呼ぶ時は、大抵何か企んでいる時。“相ちゃん”呼びは靖子から広まった。 「え!?忘れたのかよ!? マナちゃんとスイちゃんと俺らで、海へドライブに行くんだろ!? あー、チョー楽しみ!♪」 わざとらしく両手を組んで片頬に寄せる坂本。 あー…そういえば昨日。 飲み会が終わって解散する時に、マナちゃん(前回携番貰った子)とその友達のスイって子と約束したんだった、坂本が勝手に。 坂本、マナちゃんを狙っているらしい。 カラオケの時は芽衣子ちゃん狙いって言ったくせに。 と、無意識に出た芽衣子ちゃんの名前。 昨日過ごした時間を思い出すと、ふわっと心が温かくなった。 「海、寒いよな」 「あ、知ってる?新しく足湯が出来たらしい」 「あ、まじで?」 黒のダウンジャケットを持って、坂本と一緒に部屋を出た。 …
/89ページ

最初のコメントを投稿しよう!