あるべき姿

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飛永は、 退学を翻し、 大学に復学した。 バイトも、 元の本屋に通い直した。 毎日一緒に目覚め、 毎日一緒に大学に行く。 可愛い飛永。 朝ごはんを用意してくれる。 前からやってたものだと、 とても美味い朝食を作ってくれる。 俺は、 俺の役目の珈琲を淹れる。 二人で朝食を食べるのが習慣になった。 これから、 色んなことを、 二人の習慣にしていこう。 望さんからの連絡は、 不思議なくらいに来なかった。 ホッと安心する飛永。 俺も・・・・・ 彼の体に負担をかけないように、 週末しか、 彼を抱かなくなった。 土曜日は・・・ 彼を抱く日・・・ いつの間にか、 そういう習慣になっていた。 ソワソワと瞳を忙しなく動かす飛永。 俺も、 落ち着かない気分に陥る。 もう、 いい加減慣れただろう?・・・ 思っても、 いつまで経っても慣れない。 いつからか彼は、 遠い目をするようになっていた。 大学で授業を受けている最中にも・・・ 全くそれは、 不安を掻き立てるようなものでは無かったが・・・ 俺は彼に訊いた。 「飛永、何か気になることがあるんじゃ無いのか?」 夜の睦言の合間に、 そう優しく口に出した。 飛永は俺の瞳を覗き込んで、 「うん・・・の、望さんに・・・さよならを言いたくて・・・なんだか中途半端になってしまっていたから・・・・・・」 「そうだな。明日、望さんのマンションに行って見るか?」 「い、いいの?明日は、せっかくの土曜日だよ?」 「俺も望さんのことは気になっていたし・・・ちょうどいいだろ。」 そう言うと、 飛永は安心したように息を吐いた。 その様子を見て、 俺は彼をベッドに引きずり込んだ。 「ちょ・・・と・・・なに・・・安堂く・・・ん・・・」 「もう、望さんには未練とか無いンだよな?俺、不安で・・・」 そう言うと、 飛永は俺の腕の中で、 フフッと笑った。 「僕は・・・あ、安堂くんの・・・も、もの・・・だよ・・・」 そう言うと、 可愛い仕草で俺の腕の中に潜り込んできた。 その冷たい体をギュッと抱き込む。 俺のだ・・・飛永・・・・・・ 彼の頬は赤く火照っていた。
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