あるべき姿

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土曜日・・・ 今日は大学は休みだ。 俺と飛永は、 朝食を共に食べ、 瞳を交わし合った。 これから望さんの別荘に行く・・・ 果たして会えるのか・・・ 飛永は、 相変わらず遠い目をしていた。 もう、 忘れてるんだろう? 彼との生活を・・・ それを不安にさせるような瞳だった。 彼を俺の助手席に乗せ、 望さんの別荘へと車を走らせた。 途中、 度々話しかけたが、 飛永は夢の中に居るような状態だった。 俺が話しかけると夢から覚めたように返事をする。 あとはずっと、 助手席から前方をじっと見ていた。 望さんの別荘に着いた。 飛永は、 ジッと動かなかった。 俺は、 車を降り、 飛永の助手席を開けてやった。 くるりと、 その瞳が俺を見つめる。 なんだかとても、 不安にさせるような瞳だった。 「飛永。」 俺は手を貸して、 飛永を助手席から降りさせた。 「いいんだよな?お前・・・望さんに会っても、俺との関係は変わらないんだよな?」 今まで不安に思っていたことを訊いた。 思いも寄らなかったというように瞳をまん丸にして、 飛永は俺に笑いかけた。 「もちろん・・・だ・・・よ・・・も、もう、僕は君の・・・も・・の・・・望さんには・・・あ、挨拶に・・・き、来た・・・だけ・・・」 その笑顔は嘘のようには見えなかったので、 俺は一様にホッとした。 そして、 玄関の呼び鈴を鳴らした。
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