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「えへへ」と、縫以は笑い、拍子に(なみだ)が溢れた。 「どうした、」  万知也は驚いて立ち止まった。「どこか痛むのか、」  縫以は(くび)を横に振った。手の甲で泪を拭う。 「ううん、ごめんね、まちやくん。ぬいはまだ、弱虫だね」  安心したのだろう。その、泪だった。 「泣き虫でも、ぬいは強いよ。弱虫でも、ぬいは強い。みんな知ってる」  肩を顫わせ、縫以は泣いた。それから洟をすすって、万知也を見た。 「まちやくんは、やっぱり凄いね。すごく、強かった」  ああ、そうだよ。万知也は笑って答える。 「今頃知ったのか、俺が特別だって」  ううん、と、縫以も頬を泪に煌めかせて笑う。「ずっと前から知ってるよ」
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