1-1.告知までの経緯

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信じられないというより、信じたくないという気持ちでした。 それが3月のことでした。 翌月には妻の出産が控えており、 とてもそんなことを言い出せる状況ではありませんでした。  結局、そのまま4月に入り大学は新年度の忙しさもあって、 ALSのことは頭の片隅に追いやられました。 というより、無意識的にそうしていたのかもしれません。 現実逃避するために。 4月末、無事長男が生まれました。 この時はALSのことは全て忘れて、心から喜びました。 本当に幸せな気分でした。  7月に入った頃には、 左腕を長い時間持ち上げれなくなっていました。 Yシャツのボタンを一つ留めるだけでも一苦労でした。 そして、7月のある日、、、 風呂の前に、妻に服の背中のチャックを開けてと頼まれました。 私は左手が上手く動かせず、手間取りました。 すると妻は振り返り、「左手どうしたの?」と私に言いました。 私はばれたと思い、これまでの経緯を全て話しました。 ただ一つ、ALSのことを除いて・・・
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