3.遠い記憶・中編

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 季節は巡り3年生になると、付属高校の下見を許されるようになった。高校の体育館・トレーニング施設・図書館・購買・学食を見て回り、放課後には申請すれば部活動を見学できた。  俺はとりあえず文化系の部活をいくつか見て回った。   軽音部・・・・・・確実にモテるが楽器代が高い。   吹奏楽部・・・・・・モテないし、もっと金かかる。   漫画部・・・・・・絵心が無い。   美術部・・・・・・だから絵心が無い。   鉄道研究部・・・・・・何が面白いのかわからない。  で、義務もノルマもない、人間関係も緩そうなひとつの部活が候補に残った。その名は「パソコン部」。活動実態は無く、PCと学校の回線を使ってゲームやネットサーフィンするだけのクラブだ。  先輩方は概ね親切だった。歴史シミュレーションゲームやロボットアニメに詳しく、布教と称して快くソフトを貸与してくれた。18禁ゲームが特に面白かった。感度5000倍はある意味でうらやましくもあった。高校進学と同時に入部することを、俺はほぼ決めていた。あの時までは。
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