温かい冬

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温かい冬

 仕事でお偉いさんの元へ行くことになり、今日は先輩と一緒にとある会社に来ていた。  ビルを出た頃には外が暗くなっていて、寒さで吐く息が白い。  このまま家へ帰っていいことになっているので、途中まで帰りが一緒の先輩と並んで歩く。 「お前はクリスマス予定あるのか?」 「先輩、それって嫌味ですか? 私にそんな相手いないこと知ってるくせに」  ムッとする私の瞳には、ニシシと笑みを浮かべる先輩が映る。  もう直ぐクリスマスだというのに、彼氏がいない私はいつも一人寂しく過ごす。  そんな私とは真逆に先輩はモテるから、今年もクリスマスは忙しいに違いない。 「先輩の女性関係は興味ないですが、このままだと痛い目見ますよ」 「クリスマスが血に染まるってか? ありそうだよな」  何人もの女性と付き合う先輩。  相手の女性は皆そのことを知っていて付き合っている。  中には自分だけを見てほしいと言い出す人もいたみたいだけど、そういう女性とは関係を切ってしまうのが先輩。  だが不思議なことに、関係を切られた女性は全く先輩を恨んでいない。  それどころか、先輩と別れたあとは新しい彼氏を作って幸せになっている。  そんなことを考えながら、冷たくなった手に息をかけ温めていると、突然首元が温かくなり見てみると、先輩のマフラーが巻かれていた。
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