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生意気で、王であるこの俺にもおくさず話すその姿に好感を持った。そんな感情から始まった。
王であることは孤独だ。そうずっと感じながら生きてきた俺に、はじめて見えた光だと思った。それが、コハクという存在だった。
好きだと思うことに時間はかからなかった。
いつの間に、というより最初からなのか、本当に自然な心の移り行きだった。
最初は無理矢理傷を引き受けさせていたのだと、口を割らせたアルバートの言葉とは裏腹に、コハクは他人の傷を当たり前のように引き受けていく。自分が負った傷。その痛みがどれ程のものかを体感しているからこそ、その痛みを引き受けたコハクの痛みもわかる。それなのに。
犠牲にならなくてもいい、そんな俺の言葉にコハクは怒った。だから、コハクには知らせずに済ませようと思うようになった。国のためを思えば、きっとコハクの力はとても偉大で必要なものだろう。けれど、好きだという感情が生まれた以上、そんな彼に痛みを与えることなんてできない。利用なんてしたくない。
コハクには、その想いが伝わらない。
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