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たまこ――珠子――!
誰かに呼ばれた気がする。
朦朧とする意識の中で、声の方に手を伸ばすが、身体は凍えきって、自由に動かない。
珠子――!
この声。
この世に存在しない声。
でも、聴くと安心する声――
《珠子、しっかりせい!》
「よかった、無事だったか!」
あ、あなたは――
「覚えてたんだな、あのときのこと」
忘れるはず、ないーー珠子は薄れゆく意識の中で、そっと微笑んだ。
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