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 俺はヘラクレスオオカブト。世界最大にして最強のカブトムシだ。  幸いにして素封家の親爺に飼われ、とても大事にされている。  親爺は俺を誰よりも何よりも愛しているのだ。  親爺は黄塵を避け、俺との優雅な隠遁生活を望んでいるのだが、自分の金庫を狙う札付きの凶悪なギャングがいる所為で四六時中、心配している。  俺はそんな親爺を不憫に思うのだが、或る日の晩、親爺はいつものように俺と晩酌をしていると、昆虫ゼリーを食べ終えた俺に粛々と吐露した。 「ヘラクレスや、到頭、あのギャングのボスがわしの屋敷を燃してでもわしの金庫を奪うと脅迫電話をかけてきよった。警察に警備を厳重にさせておるが、果たしてどうなることやら・・・今回ばかりはお陀仏かもしれん。しかし、お前だけは必ず守ってやる」
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