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extra:14《宝物と浜辺の砂と宣戦布告》
「………」
手のひらの爪痕をまじまじと見つめていれば、一際大きな歓声が上がり、僕はハッと我に返る。──白組のアンカーが、ゴールテープを切っていた。
辻村に腕をつつかれ、慌ててアナウンスをする。
『勝者、白組。…白組には50点が加算されます』
この加算で、次の最終種目を待たずに白組の優勝が決まった。去年も一昨年も赤組が優勝したせいだろうか…白組の陣から、勝利の雄叫びが上がる。
「紺野くん…何かあった? 具合悪い?」
「ちょっとボーッとしてただけだ。大丈夫」
緩やかに首を振る。…祭りの終わりが近づいていることを感じながら、僕は最終種目のアナウンスを始めた。
* * *
閉会式を終え、本部からグラウンドに目を向ければ、まだバンパイアと新撰組の衣装を着ている2人が、生徒達に囲まれ、写真撮影に応じていた。…どこから借りてきたのか知らないが、久我原は模造刀まで持っている念の入りようだ。
「……何なのかしら、あの2人。…まったく、顔だけは良いからムダにモテるのね、紺野くんの犬は」
僕の視線の先に気づいたのか、隣から辻村が声をかけてきた。
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