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「施設にいた職員のIDで蓄積情報群の閲覧が行われた。しかし本人は『そんなことはしていない』の一点張りだ」
「ふむふむ」
「実際、この直後に警備システムが起動していた」
「ということは、不法侵入者ですか」
「お察しのとおりだ、報告を見てくれ」
ハマザキの呑気な態度にウラサキは呆れ顔で返し、
「資料保管庫の端末からのアクセス履歴と、施設内を移動する部外者の映像が残っていた。解析結果も添えてある」
「ほう、見た限り若い子ですかね。身体能力も高い」
報告に添えられたのは全身黒づくめの格好をした人間が施設の中を疾走している映像で、ハマザキは声を弾ませた。
「で,可哀想な職員の疑惑が晴れたのもすぐだったと」
「一応はな。協力者の可能性もあるが」
「信じがたいことですが、この子が扉のロックを破って保管庫に入り、職員のIDで情報群を閲覧したとして、一体何を見られたのでしょう」
「閲覧されたのは、第七層」
「え?」
「格納してあるのは、抹消リストと、『B案件』だ」
気持ち低めたウラサキの言葉に、微笑をたたえたハマザキの眼が鋭く細まる。
「それは、まずいですねえ」
「やっと伝わったかい」
「ええ。それなりの対応が必要かもしれません」
ハマザキは立体画面に手をかざして指紋と静脈を認証させ、
「警察庁警備局、ワタヌキ局長に繋いでください」
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