ー始まりー

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ー始まりー

『アンドロイドが夫を刺した』 通報を受けて駆けつけたのはロサンゼルス郊外の住宅街の一角だ。 新築なのかペンキを塗り直したばかりなのか。その家の白い壁は、周囲に薄暗い街灯しかないというのに、そのわずかな光を反射して妙な存在感を放っていた。銃を構え敷地内に踏み入る。美しく整えられた芝生が目を引いた。入り口の扉にはガラスがはめ込まれていて、オレンジ色の明かりが漏れている。ドアノブに手を掛ける。施錠はされていないようだ。 銃を握る自分の指先がぎこちなく感じられて、場違いにも笑いそうになった。緊張しているのか、この俺が。背後には距離を置かず部下のジョン・パウエルがついている。一度だけ深く息を吸い込み、ドアノブを掴んだ。振り返り、部下と目を合わせる。彼はコクリと頷いた。 わざと大きな音を立ててドアを壁に叩きつけるように開けると、部屋に突入した。
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