依存性

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 目を覚ませば真っ白い天井が目に映った、天井だけでなく部屋全体が生活感すら思わせないほどの白一色。 そんな真っ白の空間の中、ベッドだけが置いてある異質な部屋。  身体が怠い。 身体だけでなく頭もどこか寝起きの怠さとは違う怠さがある。  ベッドの上で重い身体を起こし昨夜の記憶を辿ってみるも、 酒も飲んでいないのに何も思い出せない。 まるでノートを1ページだけ破いたかのような空白の記憶。  ただ、今いるのが自分の部屋ではないのは確かだということは瑠花自身解っている。 だが、 ここが何処なのかは解らない。 何故自分はこんな所で寝ているんだ? 瑠花がぐるぐると思考を駆け巡らせているとコンコン! と軽快なノック音が聞こえた。  「 やあ、 目が覚めたかい? 」  ノックと共に入ってきたのは長い艶やかな黒髪をした切れ長の目をしたスタイルの良い女だった。 が、 瑠花には全く見覚えのない女だ。  「 …… ここは何処? あなたは誰? 」 女の問いに少し間を置いて瑠花が問う。 すると扉に凭れて立っていた女は少し驚愕しつつも笑いながら 「 私の部屋さ 」 とだけ答えた。  何故自分は見知らぬ女の部屋で寝ていたんだろうか? そう思いつつも女の紅く薄い唇から目が離せず瑠花の口は声を発せずにいた。  「 昨夜のことは何も覚えていないのかい? 」 と女が問う。 「…… ええ、 全く 」 本心だ。 瑠花にはそれ以外答えようがなかった。  すると女がゆっくりとベッドの方に歩み寄り、 瑠花の眉間より少し上、 額の真ん中あたりを静かに右手の人差し指で軽く触れた瞬間、 瑠花はまるで電池が切れたかのように気を失いパタリとベッドに沈んだ。  
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